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O plus E誌 非掲載
 
 
『火山高』
(アミューズピクチャーズ配給)
 
       
  オフィシャルサイト日本語   2002年12月17日 渋谷東急3  
  [12月14日より渋谷東急3ほか全国順次公開]      
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  技は未熟だが意欲は買える韓国製本格SFX  
   東京ファンタスティック映画祭2002のオープニング作品である。アジア発のスーパー3次元アクション,映像は『マトリックス』以上に驚異的,面白さは『少林サッカー』以上にクセになる,というキャッチ・コピーだったから香港映画かと思ったら,これは韓国映画だった。試写会の機会は何度かあったのだが,秋は本務多忙で,スケジュールが合わずにとうとう見逃してしまった。(その他では『スパイキッズ2』『リング』なども日程が合わず,取り上げる機会を逸してしまった。内容的に見切って無視した訳ではない。)
 製作は先なのに日本公開は少し後になる『アウトライブ(飛天舞)』のワイヤーアクションが香港武術チームの指導を受けたのに対して,この映画のそれは初めての純粋韓国製だという。韓国で2001年暮れに公開されてヒットしたこの映画は,全カットをデジタル化して色彩補正とCGによるSFXを加えた「100%デジタル画像処理」による「レトロ&フューチャリスチック映像」とのことだ。宣伝文句はかなり割り引いて考えるとしても,『シュリ』『JSA』『リメンバー・ミー』など最近端倪すべからざるヒットを生んでいる韓国映画で本格的SFX/VFX作品となると,本映画時評としては観なかったでは済まされない。O plus E誌に掲載の機会は逸したが,Webページでだけでも紹介しておきたい。
 公開は正月映画ピークの12月14日というから,自信作なのだろう。翌週の平日の昼間に渋谷の映画館に足を運んだ。さすがに空席の方が多かったが,それでも結構な数の男性客がいた。師走のこんな時間に映画を観る余裕があるとは,この人達は日頃何をしてるんだろう? 日本のアニメの影響を受けた学園もの武侠アクションという設定は,筆者のようなオヤジ世代には理解できないても,アニメ&ゲーム世代,フリーター達に訴えるものがあるのかも知れない。
写真1 これはマシンガン撮影ではなく,ただのワイヤーアクション
 武侠ものといっても時代は現代(近未来?)で,韓国のどこかにある高校が舞台だ。108年の歴史を誇るという「火山高校」では,教師と生徒の覇権争いによる抗争が何年も続いたが,秘伝書「師備忘録」を有する校長が学園内を治めて小康状態を保っていた。ところが,この一巻を狙う教頭と万年No.2だった生徒チャン・リャンが共謀して,校長とNo.1生徒ソン・ハ ンニムを陥れ,学園内の覇権を得ようとする。そこに立ちはだかるのが,剣道部主将の美少女ユ・チェイ(シン・ミナ)と、自らの極限パワーを封印した金髪の転校生キム・ギョンス(チャン・ヒョク)だった。  というのが設定とあらすじだが,ストーリーは誰も気にしていない。教師も生徒も武道の心得がある硬派の学園で,全編これアクションに継ぐアクションの連続で ,最後は主人公の金髪青年がスーパースター振りを発揮することは誰にも分かっている。それでも,演出は下手くそで感情移入できないし,音楽の使い方も下手だ。映像も音も騒々しいだけだった。
 話題のSFX/VFXはというと,ワイヤーアクション(写真1)は『マトリックス』を意識していることは明らかだが,動きはぎこちなく,技はまだまだだ。今しばらく香港の教えを乞う方がいいだろう。CGによる視覚効果は,冒頭で教壇から飛んでくるチョークが停止するシーン(写真2)だけがやたら恰好よかった。他は,水滴が空中で漂ったり(写真3),ガラスやゴミが乱れ飛んだりという類いのシーンばかりだ。気のパワーで空間が歪むというシーンも多過ぎる。CGシーンが頻出といっても,そのレベルはまだ日本や香港よりも数段劣ると言わざるを得ない。  デジタル色補正は,現像過程でフィルムに銀を若干残してコントラストを強めるいわゆる「銀残し(ブリーチ・バイパス)」を避け,デジタル処理で作品全体のトーンを「ダーク・オリーヴ・グリーン」とすることを選んだという。このトーンを酷評する批評も見受けられるが,筆者はそう悪いと思わなかった。非日常感を醸し出したいという意図は読み取れる。もっとも単純な「銀残し」と比べて,それほど画期的なトーンとも思えなかったが。
     
 
写真2 チョークが弾丸のように飛んで来て静止する。このアイデアは秀逸。   写真3 主人公のギョンスのスーパーパワーで水滴が空中を浮遊する
 
   
   この映画評で取り上げる世界レベルと比べると,技術面では厳しい評価となったが,その意欲は買おう。トライしない限り進歩もない。習作と考えて,我慢しよう。ただし,入場料はもう少し安くならないものだろうか。2003年には『マトリックス・リローデッド』『マトリックス・レボリューション』が公開される。予告編を観ただけでもその斬新さが伝わってくる。どう考えても,これが同じ値段というのは不合理で,競争社会の原理に反すると感じる。製作費と内容に見合った自由価格設定をすれば,観客ももっと増えるだろう。ファンだけでなく,映画館にとっても配給会社にとっても,その方が得策だと思うのだが。
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