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O plus E誌 2009年1月号掲載
 
 
K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝』
(東宝配給 )
 
      (C) 2008「K-20」製作委員会  
  オフィシャルサイト[日本語]  
 
  [12月20日より日劇2ほか全国東宝系にて公開中]   2008年11月25日 東宝試写室(大阪)  
         
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  アメコミ風演出とレトロなセットが融和した佳作  
 

 嬉しい誤算であった。007最新作を観終えて,もう変更はないなと,別項の2008年度ベスト5を決めていたのに,そこに割り込んで来る作品が最後に現われた。娯楽作品としては,本年度日本映画のベスト1だろう。スケールや演出・表現方法は,ハリウッド作品に匹敵する。
 邦画でも魂を揺さぶる映画はあるのに,ハリウッドの真似をしてそんなに偉いのかと言う向きもあるが,そう,娯楽作品ならハリウッド級であることはエライのだ。劇場公開映画なら,TVドラマ程度のチンケな作品ではなく,大スクリーンに相応しい映像クオリティが不可欠だ。最後まで観て「ああ,面白かった!」という入場料相当分の満足度も与えなくてはならない。最近,その当たり前の条件をクリアできない邦画が何と多いことか。
 本作品は,ハリウッド流の娯楽映画方程式に基づいている。それでも,スケールとスペクタクル度ではハリウッド大作には負けるから,日本の観客が喜んでくれるスパイスを振りかけておく必要がある。それが,団塊の世代以上なら知っている「怪人二十面相」なる伝説のキャラであり,舞台となる1949年当時の光景である。
 製作プロダクション「ROBOT」+VFX担当「白組」というのは,大ヒットした『ALWAYS 三丁目の夕日』の組合せである。ただし,山崎貴監督作品ではなく,彼の名前は脚本協力・VFX協力に留まり,監督・脚本は佐藤嗣麻子にバトンタッチされている。東京タワーが登場する昭和30年代前半を描いた成功から,今度は戦後すぐの時代のレトロな描写にしようと決めたのは,おそらく阿部秀司プロデューサーのアイディアだろう。
 いきなりCG製の飛行船が飛び,続いて1949年の「帝都」の光景が目に飛び込んで来る。何でこの時代に東京タワーや高層ビルがあるのかと思ったら,架空の都市との想定だ。この大都市の光景は繰返し映画中で観られるが,かなり気合いを入れてデザイン&CG描画された都市である。素晴らしい!
 この帝都で,富裕層を狙って美術品・骨董品を盗み出す「K-20」こと怪人二十面相が主人公だ。彼に間違えられるサーカスの曲芸師・遠藤平吉に『レッドクリフ Part I』の好演が記憶に新しい金城武,羽柴財閥の令嬢・葉子に松たか子,二十面相を追う名探偵・明智小五郎に仲村トオル,というキャスティングである。この映画の原作は,「怪人二十面相」や「少年探偵団」を生み出した江戸川乱歩の冒険探偵小説ではなく,北村想著の「怪人二十面相・伝」(小学館文庫)とのことだ。
 冒頭部のCG製の帝都で圧倒した後,アメコミ・タッチの軽快かつ痛快な展開で物語は進行する。以下,その見どころである。  

 
 

 ■ この映画の魅力は,随所に見られる既視感だ。どの映画のパロディかと想像する楽しみである。帝都の光景は時代不詳であり,見方によっては『スター・ウォーズ』シリーズのナブー星の首都や『バットマン』シリーズのゴッサム・シティの風景にも似ている。鉤付きのワイヤーを使ってのビル間の移動は「バットマン」や「スパイダーマン」を思い出す。K-20の風貌は,筆者らが少年期に知る怪人二十面相ではなく,むしろ『Vフォー・ヴェンデッタ』の怪人Vによく似ている。

 
 

 ■ 平吉が超人的運動能力を得る訓練や屋上での決闘シーンのアクションもハリウッド級だった。これを支えているのは,生身の人間が演じる「パルクール」である。一方,その背景描写には白組のVFX技術も駆使され,当時の街を行き交う車,羽柴ビルの威容,テスラの地震兵器,帝都の大爆発などのVFXシーンも使い所をよく心得ている。怪人二十面相が愛用したと言われる個人用ヘリが登場するに及んでは,オールドファンは感涙にむせぶこと必至だ。
 ■ 最も笑いを誘ったのは,金城武と白い鳩のシーンだ。公開日を考えると『レッドクリフ Part I』の中身を知っているはずはないのに,なぜこのパロディ・シーンが生まれたのか不思議であったが……。そーか,諸葛孔明を演じた金城自身が話せば済むことか。  

 
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◆この映画を楽しむ人は,こんな映画も観ています
 『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年11月号)
 『バットマン ビギンズ』(2005年7月号)
 『Vフォー・ヴェンデッタ』(2006年5月号)
 『プレステージ』(2007年6月号)
 『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007年11月号)
 『レッドクリフ Part I』(2008年11月号)

 
   
   
   
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