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O plus E誌 非掲載
 
 
トランスフォーマー/ロストエイジ』
(パラマウント映画)
      (C) 2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro.
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [8月8日よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー公開中]   2014年7月24日 TOHOシネマズ くずはモール[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  ポリゴン数では世界一だが,余りに破壊し過ぎでは?  
  日本製の変形ロボット玩具が元となり,コミック,アニメ等が米国で人気になり,映画化でも大成功を収めたシリーズも,早くも4作目である。スティーブン・スピルバーグ製作総指揮,マイケル・ベイ監督(2作目から製作総指揮にも名を連ねている)のコンビは同じだが,ロボット・メカのデザインにも手を入れ,出演者は一新してリニューアルを図ってきた。
 米国では6月27日公開だが,香港では前日,その他の中国の都市でも27日には公開され,中国映画史上,記録的な大ヒットとなっていると伝わって来ている。本作は米中合作扱いであり,後述するように映画の後半は戦闘が中国に移り,北京,広州,香港が舞台となることもあるのだろう。既に映画市場自体が,日本を抜いて世界第2位となった中国でメガヒットというのは,相当な興業収入に達しているはずだ。終盤,香港の高層ビル群が破壊されまくるから,中国人たちは見慣れた光景が破壊されるのを観て愉しんでいるのだろうかと思う。
 リニューアルしたとはいえ,CGの凄さ,騒々しさ,上映時間の長さはいつも通りである。本作は,何と2時間45分もある。完成披露試写会では,「こんなの95分で十分じゃないか」と憤る評論家,記者諸氏も少なからずいた。O plus E誌8月号に掲載しなかったのは,単に完成披露試写が7月下旬までなかったためだ。このWebページだけの記事が,公開後になったのは,かくなる上は,SIGGRAPH 2014でメイキング講演をしっかり聞いてから書こうと思ったからである。実際,製作費の投入の仕方はハンパではないし,制作陣の情熱も相当なものだ。あるセグメントの熱心な観客から大絶賛を受けていることも理解できる。映画には広汎なジャンルがあり,様々なファンがいるのだから,それでいいと思う。
 そう思いつつ,CG多用作を応援してきた筆者が,本シリーズを余り好きになれないのは,題材のせいではなく,マイケル・ベイという監督の映画演出法,語り口が肌に合わないのだと思う。その証拠に,『アイアンマン』シリーズは大のお気に入りであるし,昨夏の『パシフィック・リム』(13年8月号)なども大絶賛している。一方,M・ベイ監督作品はと言えば,『ザ・ロック』(96)『アルマゲドン』(98)の頃は,まだオーソドックスなエンタメ志向で,成功していたと思う。それが,『パール・ハーバー』(01年7月号)でこけ,『バッドボーイズ 2バッド』(03年11月号)あたりから悪ノリが目立ち始め,『アイランド』(05年8月号)ではその過激さに辟易した覚えがある。
 さて,本題に入るとすれば,本作は,前作『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(11年8月号)でのディセプティコンとの激戦から4年後の出来事を描く。そのシカゴ市街地の破壊に懲りた米国政府は,すべてのトランスフォーマーが地球上から去らない限り平和は訪れないと考え,人類の味方であった「オートボッツ」までも次々と抹殺し始めていた。危険を感じたリーダーのオプティマスプライムも身を隠し,トラックの姿で仮死状態に入っているという設定である。今回の敵は,CIAの管理下で人工トランスフォーマーを製造する大企業KSI社,巨大な宇宙船で地球に到来した最強のディセプティコンのロックダウンだ。そこに,6500万年前に恐竜を絶滅させた「ダイナボッツ」が甦り,第3勢力として人類滅亡のカウントダウンが始まる……という展開である。
 例によって,ストーリーなど有って無きがごとしで,全編戦いと破壊の連続である。人間の出演者としては,前作までのシャイア・ラブーフ演じるサムや恋人は全く登場しない。主人公のテキサスの廃品業兼発明家のケイド・イェーガー役を『テッド』(13年2月号)のマーク・ウォールバーグが演じている。他には,彼の娘テッサにニコラ・ペルツ,その恋人シェーンにジャック・レイナー,KSI社社長にスタンリー・トゥッチというキャスティングだ。この新キャストがさほど魅力的で,リニューアルに成功していると思えないが,真の主役はオプティマスであり,怪獣映画と同様に人間の出演者は付属品と割り切っているようだ。
 以下,CG/VFXを中心とした見どころである。
 ■ オプティマスも弟分のバンブルビーも少しデザインが変わったというが,なるほど,より精巧になっている(写真1)。彼らが変身したクルマもしかりで,オプティマスのトラックはより精悍になり,バンブルビーの黄色いシボレー・カマロも旧作のイメージを残しつつ,さらにスタイリッシュになっている。その他,カーマニア垂涎のランボルギーニやパガーニ・ウアイラの特別仕様車が登場する。CGモデルだけでなく,実際に特別仕様車を製造しているのだ。合計数億円というが,この映画の製作費からすれば,大した金額ではない。もっとも,この新デザインの分だけ,対応する玩具が売れるのだから,デザイン変更も関連グッズの増収を見込んだ営業路線であると言える。
 
 
 
 
 
 
 
写真1 より精巧なデザインになったオプティマス(上)とバンブルビー(下)
 
 
  ■ 変身や戦いは当然CGベースの描写だが,どう見ても実車でのアクションだと思えるシーンが何箇所も有った。SIGGRAPHのメイキング講演で確認したところ,やはり本当に実車をアラスカやテキサスの荒野に持ち込み,ジャンプさせ,惜しげもなく,衝突させて撮影していた。大半はラジコン操縦であり,それを捉えるカメラもまたラジコン操縦でレール上を走り,ワイヤーをつたって縦横無尽に移動している。これを叱咤激励し,陣頭指揮して怒号を発するマイケル・ベイ監督の姿は,ある種の職人である(写真2)
 
 
 
 
 
 
 
写真2 自ら機材を操作し,演技をつけるベイ監督
 
 
  ■ 恐竜型ロボット「ダイナボッツ」はまずまずのデザイン(写真3)だが,ロックダウンが操る母船の細部のデザイン(写真4)は凝りまくっていた。そんな細部にまでと素人目には思うが,これは担当クリエーターの拘りというものだろう。勿論,いくら複雑になり,CGモデルのポリゴン数が増えても,最新GPUの演算能力をもってすればびくともしない。背景となるCGセットのデザインも,香港の貧民アパート群などは,実に良くできていたと感じた。
 
 
 
 
 
写真3 新登場の恐竜型ロボット「ダイナボッツ」
 
 
 
 
 
写真4 宇宙からやって来た最強のディセプティコン
 
 
  ■ 後半の戦いは,もう破壊に次ぐ破壊の連続だ(写真5)。いくら,CGで爆発も破壊も自在に描けるようになったとはいえ,これはやり過ぎだろう。正直言って,戦闘シーンのデザイン自体は,前作(3作目)の終盤の方が良くできていたと思う。デザインされた幾何モデルのポリゴン数で言えば,フルCG作品を除き,実写VFX映画史上最大ではないか。変身のスピードはますます速くなり,上映時間が165分もあるので,レンダリングされたポリゴン数なら,フルCG作品の大半を上回っているかも知れない。不満を言えば,この破壊シーンは少し漫画的な演出で,やや不自然さを感じる。『アメイジング・スパイダーマン』シリーズで,スパイダー・ウィングは自然の重力感を感じさせるように描かれ,新『猿の惑星』シリーズでは,少しでも猿の動きを真似ようとしようとしているのに比べると,もう少しリアル感が欲しかったところだ。
 
 
 
 
 
 
 
写真5 破壊はこの程度ではなく,もっともっと凄い
(C) 2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro.
 
 
  ■ CG/VFXの主担当は引き続きILMで,Method Studios, Prime Focus, Tippett Studio, Gentle Giant Studios等も参加している。いやはや,これだけの分量のモデリングとレンダリングを,ご苦労様という感じだ。本作全体の印象を改めて探したが,すべて前3作の記事の中で使ってしまっていた。現場撮影者やCGアーティスト達の努力には敬意を表しつつも,作品の評価としては,筆者の今年度ラジー賞候補だとしておこう。  
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