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O plus E誌非掲載
 
 
トランスフォーマー
最後の騎士王』
(パラマウント映画/東和ピクチャーズ配給)
      (C) 2016 Industrial Light & Magic, a division of Lucasfilm Entertainment Company Ltd., (C) 2017 Paramount Pictures., HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. (C) 2017 Hasbro.
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [8月4日よりTOHOシネマズ 日本橋他全国ロードショー公開予定]   2017年7月13日 TOHOシネマズ梅田[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  これまで酷評したシリーズの最新作だが…,さて?  
  このWebページ専用を書くのが,ただただ苦痛であった。大阪での完成披露試写を観てから2週間以上経つが,なかなかその気になれず,1日延ばしにしてきた。さりとて,CG/VFXの発展史を同時代記録と残すと宣言している当欄にとって,CG大作であるこのシリーズを無視してスキップする訳には行かず,もはや義務感だけで本稿を執筆している次第である。
 タカラトミーから発売されているロボット玩具を主人公にして,CGをふんだんに使ったシリーズの5作目である。米国公開は6月23日,日本公開は8月4日。通常なら当然8月号(7月25日)のO plus E誌に掲載すべきところであるが,非掲載扱いでこのWebページだけの記事になったしまった。米国公開も日本公開も後の『スパイダーマン:ホームカミング』を8月号のトップ記事にしたのとは,対照的な結果になってしまった。これは単に完成披露試写がタッチの差で8月号締切に間に合わなかっただけで,好きでない作品を意図的に避けた訳ではない。
 そういう言い訳をしなければならないのは,これまでにもこのシリーズには低い評価しか与えて来なかったからである。前作『トランスフォーマー/ロストエイジ』(14)の評では,「筆者の今年度ラジー賞候補だとしておこう」とまで書いてしまった。実際,第35回(2014年公開作品対象)のラジー賞(ゴールデンラズベリー賞)では,最多7部門にノミネートされ,最低監督賞(マイケル・ベイ),最低助演男優賞(ケルシー・グラマー)の2冠に輝いて(?)いる。もっとも,2作目『同/リベンジ』(09) は6部門ノミネートで,最低作品賞と最低監督賞の2冠達成,3作目『同/ダークサイド・ムーン』(11年8月号)は7部門ノミネートであるから,もう完全にラジー賞の常連である。筆者だけが低い評価を下している訳ではない。
 とはいえ,シリーズ最新作を観ること自体が苦痛であった訳ではない。大きな感動はないものの,何か目新しさはあると思ったし,そろそろロボットの変身と派手なバトルだけがウリの中身から,少しは落ち着いた物語になっていることを期待した。
 前作までと同様に,御大スティーブン・スピルバーグも監督のマイケル・ベイも製作総指揮に名を連ねている。主役は,3作目までの青年サム役のシャイア・ラブーフに代わって,4作目からは廃品業兼発明家のケイド・イェーガー役のマーク・ウォールバーグになった。本作も彼が続投している(写真1)が,目玉となる強力な共演者として,英国老人エドムンド・バートン卿役で名優アンソニー・ホプキンスが名を連ねている。このことも,ガキ映画を脱して少しは大人の観賞に耐える映画に変身していることを期待した理由の1つである。ヒロインはオックスフォード大学の女性教授ヴィヴィアン・ウェンブリーで,ローラ・ハドックが演じている。TV界中心に活躍してきた英国女優で,『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズにも登場していたそうだが,ほとんど記憶にない。これが初の大役だ。3作目までに登場していたジョシュ・デュアメル演じるレノックス少佐も再登場する。
 
 
 
 
 
写真1 前作に引き続き,M・ウォルバーグが主演
 
 
  前作は米中合作映画で,後半は北京,広州,香港を舞台に戦闘が繰り広げられた。本作はほぼ全編英国が舞台で,千数百年前のアーサー王の時代から始まるという。舞台や時代を変え,工夫を凝らしたシリーズにという意図は読み取れた。
 
 
  映像の迫力は褒められるが,懲りない監督だ  
  結論を先に言えば,結果的には,内容は全く代わり映えしなかった。懲りない監督だ。改めて,前作までの評を読んでみたが,内容に関する酷評も,この監督とは肌が合わないことも,語り尽くしている。改めて,何を書けばいいのかと迷うばかりで,それゆえに,この稿を起こすことが苦痛であった訳である。
 たとえ酷評であっても,記録を残すのが使命であるから,当日とったメモを順に並べて,本作を淡々と語っておくことにしよう。
 ■ 完成披露試写は,大阪ミナミのシネコンでのIMAX 3D上映だった。劇場公開は3Dでも,経費削減で試写は2Dでというパターンが定着しつつあるだけに,これは嬉しい。大半のシーンをIMAXカメラを使った撮影で,前作,前々作同様,基本はReal 3D撮影だという(写真2)。IMAX 3Dカメラ1台による撮影と,通常のIMAXカメラ2台をステレオリグに設置しての撮影の両方を使い分けているそうだ。全編が「2D→3D変換」のFake 3Dが常態化し,しかもその技術がどんどん向上している中で,全く珍しい拘りだ。とにかく迫力ある映像をという姿勢のようだ。このことだけは,素直に褒めていい。この監督だから,内容は期待できないので,劇映画ではなく,テーマパークのアトラクション風に愉しむことにした。
 
 
 
 
 
写真2 実物大モデルを配置して,陣頭指揮するマイケル・ベイ監督
 
 
  ■ 冒頭から英国の古戦場での戦闘シーンだった。1600年前の暗黒時代だというから,5世紀の想定である。アーサー王の名も出てくるし,円卓の騎士も登場する。ここでモーリンの杖なる物が登場し,これが後年,物語の鍵になることは容易に想像できる。なるほどReal 3Dは見やすい。壮大な世界観が基づいているように見せようとするのは,ゲームムービー風だ。シリーズに深味をもたせているつもりだろうが,子供騙しに思える。
 ■ そこから時代は現代に移り,オプティマス・プライムが地球から去って宇宙に向かったという,前作のラストが挿入される。それから約1時間弱,色々な新しい悪役ロボットが続々と出て来るが,覚えられない。キャラを増やすのは,トイ・ビジネスの営業用だ。テンポが速いというか,落ち着きがない。もっとじっくりストーリーを語ってくれればいいのに……。こんな映画,誰が楽しむのか,全く不思議で仕方がない。
 ■ バートン卿,ケイド・イェーガー,ヴィヴィアンの3人が揃って,ようやく本作のストーリーの前提が分かる。英国の格調高い大邸宅やその庭園を見せ,この小休止に続く戦闘も草原内であり,従来の市街地でのバトルよりも少し高級感を出そうとしているのが感じられる。
そこからまた延々とつまらない話が続く。なるほど,映像的には雄大,壮大だが,単なる虚仮威しだ。
 ■ ロボットの変身は,従来ほど多くない。それでも,戦闘機から変身したり,スポーツカーから変身したりのシーンが登場するが,このスポーツカーは頗る恰好良い。金属の光沢感は相変わらず一級品で,IMAXの大画面でも細部がしっかり確認できる(写真3)。音はひたすら騒々しい。
 
 
 
 
 
 
 
写真3 モデリングも一段と高精細になり,光沢感,実物感も3D上映に格段にアップ
 
 
  ■ いなくなったはずのオプティマス・プライムが再び地球に戻ってくるが,洗脳されていて,敵として人間やかつての仲間の前に現れる(写真4)。それでも,最終的に弟分のバンブルビー達と一緒に敵を倒して,地球を守る話となることは容易に想像できる。ただそれだけ物語で,本シリーズの常連なら自明なのだが,本作が初めての観客には,さっぱり理解できないようだった。人類との共存をめざす「オートボッツ」と敵対する「ディセプティコンズ」の正邪の戦いであることは感じても,どのロボットがどちら側なのか,すぐには判らない。なるほど,鍵となる存在のオプティマス・プライムの位置づけもバンブルビーとの関係も,改めて説明されていないと把握できない。限られた観客層相手のシリーズとはいえ,その点は不親切と言える。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
写真4 洗脳されて目が紫になり,人類やオートボットの敵となる
(C) 2016 Industrial Light & Magic, a division of Lucasfilm Entertainment Company Ltd., All Rights Reserved (C) 2017 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. (C) 2017 Hasbro. All Rights Reserved.
 
 
  ■ 残り25分は,腹を立てず,先のテーマパーク・モードで淡々と見ることにした。IMAXスクリーンの魅力を引き出した複雑で威圧感のあるCG映像が次々と登場する。スペクタクルとしては入場料分の価値はある。ただし,映画としては全く面白くない。これでは,計算リソースの無駄使いだ。懲りない監督だ。ここまでの製作費と人材を与えられたら,虚仮威しでなく,観客を感動させる映画にしてみたいとは思わないのだろうか?
 ■ エンドクレジットのスクロール速度が異常に速く,じっくり読み取れなかった。上映時間は2時間25分で,30分を超えないようにしたためだろう。CG/VFXの主担当は勿論ILMで,副担当はAtomic Fiction, MPCだった。ほぼこの3社だけで膨大な量のデジタル処理をこなしたようだ。若いクリエータなら,大作に参加できるだけで嬉しいだろうが,仕事とはいえ,心あるアーティストたちは,こんなに中身のない映画に付き合わされて,充実感を感じるのだろうか?
 
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