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2018年Webページ専用記事#3
 
 
デッドプール2』
(20世紀フォックス映画)
      (C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [6月1日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国東宝系にてロードショー公開中]   2018年5月23日 TOHOシネマズ梅田
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  またまたマーベル・ヒーロー,徹頭徹尾のギャグ  
  またアメコミ・ヒーローもののVFX大作だ。今年になってから既に3本目で, 欧州公開は5月17日,北米での拡大一般公開は翌18日で,当然のようにBox Office No.1の座に着いた。これにて,『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18年Web専用#2)が4週守っていた首位の座を明け渡し,13週間もTop 10内にいた『ブラックパンサー』(18年Web専用#1)がようやく圏外に去った。
 そんなに同士討ちしていいのか,あれっ,これはマーベル・ヒーローでなく,DCコミックス側だったのかな? と思いがちだが,そうではない。デッドプールはしっかりマーベル・コミックスに登場するヒーローである。ただし,本作は上記2作のようなマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)シリーズの作品ではなく,親会社のディズニー配給網での公開でもない。従って,アベンジャーズたちとも交流しない。20世紀フォックスの製作・配給なので,X-Menのミュータントたちとの交流はある。と言えば,『X-Men』のスピンオフ作品として紹介した前作『デッドプール』(16年6月号)と,自己チューの無責任ヒーローを思い出して頂けただろうか。本作も,広義には『X-Men』シリーズの11作目とカウントされている。
 本作も,相変わらずのコメディタッチで,ギャグの連発だが,案の定というか,予想通りというか,娯楽大作としての出来は上々で,かなりの傑作と言わざるを得ない。もはや,この種のアメコミ大作は,誰か監督であろうと,ヒーローの活躍舞台や共演者が変わろうと,今後もハイレベルを維持すると言い切れる。エンタメとしてのツボを心得ていて,観客満足度を満たす脚本を書ける人材の層が厚く,CGアーティストは質的にも量的にも充実の一途だからだ。
 ソニーピクチヤーズ配給の『スパイダーマン』シリーズは既にMCU内に入ってしまったが,『X-Men』と本シリーズだけが別路線として競い合うのも悪くないと思う。と言っていたら,20世紀フォックスがディズニーに買収され,傘下に入ってしまうそうだ。果たして「20世紀フォックス映画」のブランドが残るのか,本シリーズもMCUに取り込まれるのか,全く先が読めない。そうなったらなったで,お調子者のデッドプールが生真面目なキャプテン・アメリカや堅物のハルクとどういうタグを組むのか,楽しみではある。
 監督は誰でもいいように書いたが,アクション・センスとコメディ・センスがあるに越したことはない。前作のティム・ミラーに代わって第2作のメガホンを取るのは,『アトミック・ブロンド』(17年11月号)のデヴィッド・リーチ。なるほど,あのスタイリッシュなスパイ・アクション映画の監督なら,アクション・センスは折り紙付きだ。自身がスタントマン出身だというから,筋金入りだとも言える。
 主演のデッドプール=ウェイド・ウィルソンを演じるライアン・レイノルズは引き続き主演で,本作では製作・脚本にも参加している。前作でゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門の主演男優賞にノミネートされたためか,俳優生命をこの役に賭けているかのような気合いの入れ方だ。もっとも,焼けただれて醜悪な顔のウェイドか,赤いマスクをつけたデッドプールでしか登場しないから,殆ど素顔では登場しない。
 恋人のヴァネッサ(モリーナ・バッカリン),ミュータント仲間の鋼鉄男コロッサス(声:ステファン・カピチッチ)と少女ミュータントのネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)の他,タクシー運転手,ルームメイドの盲目老女,酒場の店主等々も同じ俳優が継続起用されている。敵役は,未来から来たマッチョなマシーン人間のケーブルで,ジョシュ・ブローリンが演じている(写真1)。前出『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でメイン悪役のサノス,『オンリー・ザ・ブレイブ』(18年5・6月号)では主役の消防隊長で見たばかりだ。1ヶ月以内に主役/準主役で3回も彼の顔を見ると,また彼か,他に俳優はいないのかと思ってしまう。新登場のミュータントでは,日本人の忽那汐里がネガソニックの恋人役で登場するのが嬉しい。
 
 
 
 
 
写真1 事前広告用のイラスト画。この構図には笑った。
 
 
  前作で敵に捕われた恋人ヴァネッサを救出し,彼女と同居して真面目なヒーロー人生を送ろうとしていたウェイドだったが,早々に敵に襲われ,ヴァネッサは落命してしまう。失意のウェイドは,14歳のミュータントの孤児ラッセルの命を未来から来たケーブルが狙っていることを知り,個性的なミュータント仲間をかき集め,「Xフォース」を結成して対抗する……。といった物語展開であるが,あまり善悪の対決や,間一髪の危機回避を期待しても意味がない。その種のアクション映画ではないのである。余り書くとネタバレになるが,時間を逆行させて,出来事をなかったことにしたり,生き返らせたり,敵が敵でなくなったりするからである。
 では,何を楽しむのかと言えば,ギャグやパロディ満載のアクション・コメディを観て,大笑いをすれば良い。ある種の映画通のための映画だ。と言っても,小難しいアート系の映画ではなく,どこが何のパロディか,知識をひけらかし,同好の士とSNSで語り合うための映画である。とにかく面白い。この映画にハマった観客は,細部を何度でも見直したくなることだろう。
 以下,当欄の視点での見どころである。
 ■ 前作よりもVFX利用シーンはずっと多い。ただし,巨大な怪獣や大型宇宙船は出て来ないし,CG/VFXならでの天変地異や大破壊の描写がある訳でもない。前作同様,デッドプールのマスクの半分以上はCG製だし,大男のコロッサスはフルCGだ。ケーブルの左眼やメカっぽい身体(写真2),ネガソニックの両眼や炎(写真3)も,当然CG加工の産物だろう。Xフォースの面々はミュータントであるから,彼らが発揮する超能力もCG/VFXの出番だ(写真4)。要するに,さほど目立たないながらも,もう当たり前のように多数のシーンがVFX加工されている。
 
 
 
 
 
写真2 未来からきたケーブル。左眼や金属製の腕はCGの描き加え。
 
 
 
 
 
写真3 前作ではまだ小さな少女だったネガソニックもかなり大人っぽくなった
 
 
 
 
 
写真4 忽那汐里が演じるアキラはキュートな女性暗殺者
 
 
  ■ デッドプールが二刀流で,弾丸を弾き飛ばすシーンは,相変わらず恰好良い。アイデア賞ものは,ケーブルが自ら組み立てて使用する銃だ。軍の物資を調達し,狙撃銃,機関銃,照準望遠鏡等を組み合わせて,7つの機能をもつ自分用の銃を作り上げている(写真5)。最も抱腹絶倒するのは,上下真二つに分断されてしまったデッドプールの身体のその後だ。治癒能力があるので,次第に下半身が生えてくるのだが,その間,下半身だけが小児のようで,フリチン状態である(肝心な所は見せないが)。勿論,下半身はCGの産物だが,老若男女を問わず,ここで笑わない観客はいない。
 
 
 
 
 
写真5 7つの機能をもつこの自作銃がカッコいい
 
 
  ■ 最大の見どころは,中盤の輸送機からのパラシュート降下シーン(写真6)と,地上に達してから延々と続く市街地でのアクションの連続である(写真7)。よくぞ,これほど楽しく,激しく,笑えるアクション・シーンをデザインしたものだ。と感心する。プレビズ技術あってのアクション・デザインだとしても,感心する出来映えだ。一方,終盤では,主人公が観客に向けて「ここからは,CGを沢山使った…」とわざわざ解説してくれる。そう言うだけのことはある,ボリュームたっぷりのラストバトルだった。ただし,印象としては,上記の中盤のアクションの方が上だ。CG/VFXの担当は,DNEG(Double Negative社を最近はこう略す),Framestore,Method Studios,Weta Digitalの大手4社で,追加処理でもう数社の名前が有った。
 
 
 
 
 
写真6 一見平凡な降下シーン。ここから先が怒濤のアクション
 
 
 
 
 
写真7 この程度のアクション・シーンはまだまだ序の口
(C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
 
 
  ■ この種の映画では,エンドロールが始まっても大半の観客は席を立たない。それが終わってから,次回作への伏線や思わぬ種明かしが登場するからだ。詳しくは書けないが,『LOGAN/ローガン』(17年6月号)で死んだはずのウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン?)や,ライアン・レイノルズが演じていたが,もはや続編は製作されないはずの『グリーン・ランタン』(11年9月号)までが顔を見せる,とだけ言っておこう。  
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