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O plus E誌 2019年3・4月号掲載
 
 
バンブルビー』
(パラマウント映画/ 東和ピクチャーズ配給 )
      (C) 2018 Paramount Pictures. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. (C) 2018 Hasbro.
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [3月22日よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー公開中]   2019年1月29日 TOHOシネマズ梅田[完成披露試写会(大阪)]
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  監督交替により,見事に生まれ変わった前日譚  
  異星から来た変形自在の金属生命体同士が地球上で戦う『トランスフォーマー』シリーズは既に5作を数える。本作は,地球人との融和を図る「オートボット」の中から,人気キャラの「バンブルビー」だけにスポットを当てたスピンオフ作品である。ただし,単なるトランスフォーマー外伝ではなく,第1作の約20年前に遡った前日譚の位置づけである。シリーズの基本ラインの影響を受けずに自由に物語が構成できる上に,前日譚となると,人気キャラの知られざる過去を明かしたり,その後のシリーズ本体にどう繋がるかの楽しみもあるから,固定ファンの心を掴みやすい企画だと言える。
 どうにも好きになれないシリーズで,これまで当欄では酷評し続けてきた。第4作と第5作には☆しかつけていない。CGのクオリティの高さには感心はしても,全く感激しないし,ましてや感動はかけらもない。酷評は筆者だけではないことは前作『トランスフォーマー 最後の騎士王』(17)で延々と述べた。何しろ2作目以降,毎回ラジー賞の作品賞,監督賞にノミネートされる有り様で,何度も見事に(?)受賞している。
 前作時で「懲りない監督だ」と苦言を呈したが,その監督が交替したというので,大いに注目した。ずっとスティーヴン・スピルバーグ製作総指揮,マイケル・ベイ監督のコンビだったが,M・ベイは製作に退き,『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(17年11月号)のトラヴィス・ナイトが監督に抜擢された。ずばり言って,この起用は大成功で,本作は見違えるような映画になり,文句なく,シリーズ最高傑作となった。勿論,ラジー賞にはどの部門にもノミネートされていない。
 時代は1987年,オープニングはサイバトロン星から始まる。ディセプティコンに追いつめられたリーダーのオプティマス・プライムは,地球での再会を期して,バンブルビーを脱出させる。そして地球上では,孤独な18歳の少女チャーリー・ワトソンが廃品置き場で廃車寸前の黄色い車を見つける。これがバンブルビーが変身した姿だが,いつものシボレー・カマロではなく,旧型のVWビートルだった(写真1)。まだ動くので自宅まで運転して帰ったところ,車庫内で大型ロボットの姿に変身して,彼女を驚かせる……という展開だ(写真2)
 
 
 
 
 
 
 
写真1 シボレー・カマロでなく,姿はかなり旧いVWビートル
 
 
 
 
 
写真2 持ち帰った車庫内で突如大型ロボットに変身
 
 
  後は少女とロボットの心の触れ合い(写真3)を描いたハートフル・ドラマが続くが,少年とロボットの『アイアン・ジャイアント』(99)を彷彿とさせる。ポスターやチラシの使われているシルエット姿などは,そっくりだ。VWビートルからは名作『ラブ・バッグ』(68)を,廃品置き場からは『WALL・E/ウォーリー』(08年12月号)を思い出す。もうこのテーマを選んだ時点で,本作の成功の道は拓けていたと言える。
 
 
 
 
 
 
 
写真3 チャーリーとバンブルビーの微笑ましいシーン
 
 
  主演の少女チャーリーを演じるのは,コーエン兄弟作の『トゥルー・グリット』(11年3月号)で14歳の少女を演じたヘイリー・スタインフェルドだ。当欄でも激賞したが,初出演ながら,同作で数々の映画賞を受賞し,アカデミー賞では助演女通賞にノミネートされていた。その後も数々の作品に出演しているが,『スパイダーマン:スパイダーバース』(19年Web専用#1)の魅力的なスパイダー・グウェンの声の出演は彼女だった。相変わらずの芸達者で,本作では,シンガー・ソングライターとして,自ら作曲した主題歌も歌っている。
 以下,当欄の視点での評価である。
 ■ 作風ががらっと変わったので,過剰なまでのロボットの変形シーンは激減した。むしろ減ったゆえに,所々で見せるバンブルビーの変形シーンは心地よい(写真4)。CG/VFXでの描写は手慣れたもので,ますます磨きがかかっている。改めて技術的には一級品だなと感じる。地球上で最初に遭遇するブリッツウィングは戦闘機に変形し,バンブルビーを追って地球に来たシャッターとドロップキックは,各々赤と青の車に変形する(写真5)。オプティマス・プライムはと言えば,最後に少し登場し,オートボットが地球に無事集結したことを告げる。
 
 
 
 
 
写真4 クルマからの変形シーンが実にカッコいい
 
 
 
 
 
 
 
写真5 地球に来た追手は青と赤のディセプティコン。彼らも車から変身する。
 
 
  ■ 物語とCG描写が見事にマッチいると感じたのは,バンブルビーの日常生活での挙動だ。居間で寛いだり,犬と戯れたり,人間に似た感情豊かな動作を示す(写真6)。顔の表情はいくらも変えられないから,身体動作そのもので,うまく感情表現をしていると言える。この点は,最強戦士のオプティマス・プライムでなく,ドジで優しい,3枚目的なバンブルビーの主役起用は大正解であったと思う。VWビートル姿も似合っていたが,いつものシボレー・カマロ姿がないのが残念というファンのために,ラストではしっかりその姿での走行が見られると言っておこう。CG/VFXの担当は引き続きILMで,若干量をBase FX, Rodeo FXに外注した以外は,全編の90%以上を同社1社で仕上げている。

 
 
 
 
 
 
 
写真6 居間で寛いだり,犬と戯れたり,感情を込めた挙動表現に磨きがかかっている
(C) 2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. (C) 2018 Hasbro. All Rights Reserved.
 
 
  ■ 高評価を与えたのには,音楽の影響も大きい。軽やかな80年代ポップスの歌唱曲と,少し重厚なオリジナルスコアとの相性も抜群だ。T・ライト監督が『KUBO/クボ』に引き続き,音楽担当に作曲家ダリオ・マリアネッリを起用したことが奏功している
 
 
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  (画像は,O plus E誌掲載分に追加しています)  
   
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