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O plus E 2019年Webページ専用記事#2
 
 
アベンジャーズ/エンドゲーム』
(ウォルト・ディズニー映画)
      (C) 2019 MARVEL
 
  オフィシャルサイト[日本語][英語]    
  [4月26日よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー公開中]   2019年4月26日 TOHOシネマズ二条
       
  (注:本映画時評の評点は,上からの順で,その中間にをつけています。)  
   
  とにかく圧倒される。まさにMCU10年余の集大成。  
  今回のWebページ専用記事のメイン3作は,いずれも☆☆☆評価だ。当コーナーはこれが最高点だが,その中での特別に☆5つ付けたいくらいの逸品である。公開前から大きな話題となっていたが,その話題性に見合う充実した一作であり,圧倒的なボリュームでマーベル・ファンの大半を納得させる力作であると,まず宣言しておこう。
 この数年,特に製作ペースが上がったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の22作目であり,多数のマーベル・ヒーローのオールスター映画『アベンジャーズ』シリーズの4作目に当たる。当初,『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はPart 1, Part 2に別れていたが,Part 1であった前作(18年Web専用#2)だけがそのままの題名で公開され,Part 2であった本作は『…/エンドゲーム』と改題された。広報本作は「完結編」,MCU 22作の「集大成」を強調しているから,「エンド」の表現を入れたかったのだろう。ポスター(写真1)には,「アベンジャーズが終わる」とまで書かれている。「最終作」「完結編」を乱発されると,「単に集客のための惹句だろう」「監督や俳優を変えて,また新シリーズを始めるに違いない」と感じてしまうが,本作に限っては,どうやら「集大成」の言葉通りの力作であることが,漏れ聞こえて来ていた(多分,それも意図的な情報リークだったのだろう)。
 
 
 
 
 
写真1 本作のポスター。「逆襲」は当然だが,「アベンジャーズが終わる」が気になった。 
 
 
  とはいえ,原作小説があるシリーズとは異なり,誰と誰が生き残り,結末はどうなるのかは,全く読めない。この点に関しては,徹底的な箝口令が敷かれていたようだ。ネット上でのネタバレ情報拡散を恐れてか,東京での完成披露試写会は日米同時公開日(4月26日)の前夜であり,他の地区ではそれすらなかった。よって,関西在住の筆者は,公開日初日にシネコンまで足を運んだ。4つのフォーマットで上映され,特別料金の「IMAX 3D・ 字幕版」のシアターはほぼ満席だった。平日の真っ昼間でこの集客力には,少し驚いた。既に固定ファンがかなりいて,人気はSWシリーズかそれ以上の感がある。平均的な観客年齢は,SWシリーズよりもかなり下で,若者はこちらを好んでいると言えよう。
 では,公開日初日に観ておきながら,なぜ数日間紹介記事を公開しなかったのかと言えば,何を書いてもネタバレになりそうなので,何をどこまで書こうかと慎重になったためである。既にネット上には,本作の登場人物の詳細や結末のもつ意味を事細かに語ったネタバレ・サイトも存在しているが,当欄としては,極力ネタバレを避け,見どころを語ることにした。
 監督は前作同様,アンソニー&ジョーのルッツ兄弟である。別の題名になったとはいえ,前作と本作は,ほぼ前編と後編の関係であるから,2本分を同時期に撮影したという。膨大な数の出演者のスケジュール管理を考えれば,当然のことだろう。出演俳優の名前もここでは一々書かない。MCU-2『インクレディブル・ハルク』(08年8月号)とMCU-6『アベンジャーズ』(12年9月号)の間で,超人ハルク役がエドワード・ノートンからマーク・ラファロに変わった他は,同じ俳優が演じていると考えて良い。
 まずは,本作を観る前に誰もが想像できる事柄から入ろう。
 ■ 誰が登場し,活躍するのか?:写真1のポスターに「逆襲へ」とある以上,やはり敵は最凶最悪のサノスであり,アベンジャーズたちが結束して,最後に彼を倒すことが容易に予想できる。問題は,前作の最後で,サノスが全宇宙の生命体の半分を消滅させてしまったため,マーベル・ヒーローたちも半数が塵になってしまったことだ。広く公開されているスチル画像(写真2)には,8人が写っている。トニー・スターク(アイアンマン)とスティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)が並んでいる。ということは,アイアンマンは既にタイタン星から地球に帰還し,MCU-13『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(14)以降,ことごとく対立してきたこの2人が和解したということのようだ。前作でなぜ不参加なのかと訝ったクリント・バートン(ホークアイ)とスコット・ラング(アントマン)の姿も見える。写真1のポスターには,さらにお馴染みのソー,ワカンダ国の親衛隊長オコエと,新参加が確実であったキャプテン・マーベルの3人が加わっている。元来のアベンジャーズ6名は全員無事であり,他数名のヒーロー/ヒロインも難を逃れていたことになる。
 
 
 
 
 
写真2 予告編にも登場するこのシーンでは,いがみ合っていた2人が並んでいる 
 
 
  ■ 前作で消滅したヒーローたちは,完全に死んだのか?:では,前作の最後で粉々になったヒーロー達は絶命し,2度と登場しないのかと言えば,いくら「完結編」とはいえ,そんなことは有り得ない。既にMCU-23『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年6月公開)が予定されているからである。誰と誰が消滅したのかを思い出せば,スパイダーマン,ブラックパンサー,ドクター・ストレンジ,ファルコン,スター・ロード,グルート,ニック・ヒューリー等々だった。IMDbのフルキャスト欄を見れば,この全員の名前がある。まさかこれだけの数が,回想シーンで一瞬登場するだけとは思えないから。何らかの方法でその大半を復活させるのだろうと考える方が自然だ。言い換えれば,どう理屈をこね,辻褄を合わせて復活させるのかを楽しむ映画であるとも言える。
 
 
  堂々たる大団円に向かっての3時間超  
  本作は,3時間超の長尺である。過去のMCU作品の中では最長だ。比較的長めの『アベンジャーズ』シリーズでは,各ヒーローたちの見せ場をしっかり設け,得意技を駆使して存在感をもたせる演出がなされていた。最長の本作なら,同じ路線を踏襲した上で,MCU全作品を振り返っての大団円となることが予想された。
 全体は,概略以下の3部構成となっている(ほんの少しのネタバレを含む)。
 ●第1部 :残った面々が立ち上がるが,既に手遅れ
 恒例のオープニング・シーケンスでのバトルやVFX多用シーンは登場しない。前作に登場しなかったホークアイが自宅で家族と穏やかに過すシーンから物語は始まるが,彼が一瞬目を離した隙に,その家族の姿が見えなくなる。一方,生き残ったアベンジャーズたちは,敗北の虚脱感から立ち直り,宇宙空間からサノスの居場所を探し出し,インフィニティ・ストーンの力で消滅した仲間たちを生き返らせようとするが,時既に遅し,目的を果たしたサノスはすべてのストーンを原子レベルまで破壊していた。ここまで1時間弱,CG/VFXシーンは殆どない。
 ●第2部 :再度ストーンを集めるため,時空を往復
 それから5年の歳月が流れたある日,量子世界から戻ったスコットがアベンジャーズ本部(写真3)を訪れる。彼の提案とトニーの科学的分析により,再びストーンを集めることが可能であることが分かり,生き残ったアベンジャーズたちは仲間の復活に向けて行動を起こす(写真4)。2012年,2013年,2014年の世界が登場するが,どういう原理でそれを可能にしたかは伏せておき,MCU-20『アントマン・アンド・ワスプ』(18年Web専用#4)で登場したピム博士の量子トンネルが重要な役割を果たすとだけ言っておこう。この第2部では,過去の世界を描くパートで既視感のあるシーンが頻出するが,以前のMCU作品の再利用なのか,新たに撮影したシーンなのか明確な区別はつかなかった。

 
 
 
 
 
写真3 川沿いにあるアベンジャーズ本部 
 
 
 
 
 
 
 
写真4 量子世界に向かうため,新しい白いスーツを着用して,いざ出陣
 
 
  ●第3部 :サノス軍団とのラストバトルと後日談
 そして誰もが想像できるのは,上記に成功した後,それを黙って見ている訳がないサノス軍団とのラストバトルである。アベンジャーズ側も無傷では済まないが,誰が犠牲となるかは書かないでおこう。ストーンを巡っての攻防は,アイディア賞ものでなかなか面白い。戦いに勝った後の後日談も良くできていて,MCUファンは涙し,かつ満足感に浸れる。本作が完結編であることは,恒例だったエンドクレジット後の映像を確認すれば分かる。筆者がかつて大いなる満足感を得たのは,3部作の完結編『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(04年3月号)の堂々たるエンディング,話題作『アバター』(10年2月号)の期待に違わぬ完成度の高さに対してであった。本作はそれらに匹敵し,当欄の「満足度ベスト3」としておこう。
 以上が,本作の大雑把な流れであるが,以下は当欄独自のCG/VFXの視点からの論評である。
 ■ 実を言うと,MCUの22作目となる本作では,CG/VFX的には特段語るべきものがない。各ヒーロー達の得意技の描写には必要不可決なはずだが,分量的には多くても,これまでに観たパターンが殆どであり,新しさを感じなかったからだ。主担当は老舗ILMであり,Weta Digital, Digital Domain, DNEG, Framestore, Cinesite, RISE, Lola VFX,Cantina Creative, Technicolor VFX等の各社が名を連ねていた。各社は,過去のMCU作品を担当した際のデジタル資産を有効利用していると見てとれた。
 ■ 第1部ではCG/VFXシーンが殆どなく(写真5),このまま普通のドラマで終わるかと思ったが,第2部に各ヒーローの得意技が炸裂して次第に利用量が増え,第3部ではCGパワーも全開となる(写真6)。ちょっと付記しておくと,サノス役を『ヘルボーイ』シリーズで主人公を演じたロン・バールマンだと思っている読者もあるようだ。なるほど,顎の形は似ているが,彼ではない(写真7)。前作&本作のサノスを演じるのは名脇役のジョジュ・ブローリンである。かつて 『ブッシュ』(09年6月号)で大統領役を演じたように,むしろジョージ・W・ブッシュ似の風貌である。サノスの顔はCG製であり,Weta Digital 社ご自慢のFacial Capture技術で,J・ブローリンの顔面の表情をCGモデルに転写している(写真8)。巨大化したハルクもしかりである。その作業時間を短縮するため,AIの機械学習技術を使ったという。
 
 
 
 
 
写真5 当たり前のように観ていたが,そう言えば,アライグマのロケットはCG製だった 
 
 
 
 
 
写真6 サノス軍団を載せた宇宙船は,外観まで邪悪さを感じさせる
 
 
 
 
写真7 ラスボスのサノス(左)は,確かにヘルボーイを演じたロン・パールマン(右)に似ている
 
 
 
 
 
写真8 J・ブローリンの表情を,CG製の顔に転写
 
 
  ■ 一番意外だったヒーローはと言えば。ソーだろう(写真9)。5年間の自堕落な生活の挙句,かつてのあの筋肉質の体躯からは想像もできない肥満体として再登場する。それにしても,あの腹部の突出具合は驚きだ。これは俳優本人の増量によるものか,それともCG製の顔や腹部を使っていたのか,区別がつかなかった。2作同時に撮影したとなれば,急な増量は難しいだろうから,CG利用の可能性の方が高い。そうそう,登場人物一覧にあった我らが真田広之はといえば,東京を描いたシーン(写真10)で,日本人ヤクザとして登場する。登場場面が少な過ぎて,ちょっと残念だった。
 
 
 
 
 
写真9 すっかり肥満化したソー。腹部はもっとすごい。 
 
 
 
 
 
写真10 ブラック・ウィドウがホークアイを迎えに,東京に向かう
(C) 2019 MARVEL
 
 
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